【現地レポート】China Hi-Tech Fair 2025 |ロボットが主役の“未来の見本市”

深圳市宝安区の国際会展中心で11/14~16に開催されたテクノロジーの展示会 China Hi-Tech Fair に行ってきました。感想を一言でまとめると、「子どもの頃に想像していた世界が着実に近づいてきているな…」でした。

まず驚くのは、人の多さと会場の広さ。全16ホールを使用する大規模開催で、ホール間の移動に小型バスが運行しているほどでした。日本の展示会と同じ感覚で「半日くらいあれば見れるだろう」と思っていた過去の自分を戒めたいです。

テーマが盛り沢山

ホールごとにテーマが分かれており、ロボット・モビリティ・AI・再生エネルギーなど…、話題のテクノロジーが一通り網羅されていました。今回の展示の中で、特に存在感があったのは ロボットとモビリティ でした。

とにかく“人型ロボット”が多い

展示会場を歩くだけで、そこら中で人型ロボットに遭遇します。Unitree をはじめ各社が人型ロボットを展示しており、ボクシング、楽器演奏、ダンス、洗濯物を畳む、コーヒーを淹れる、ただフラフラ歩き回るなど、用途も見せ方も多種多様。

ロボット同士のボクシングは、思ったより白熱して観客が湧いていました。かくいう自分も、ロボットのたどたどしい動きに少しもどかしくなりながらも夢中で見ていました。ロボットが人間の代わりにスポーツ競技をするような時代ももうすぐそこまできているのかもしれません。一方、実用型のロボット(自動宅配カート、清掃ロボット、アーム型など)はまだまだ“想像の範囲”を出ない感じで、インパクトは控えめでした。

余談ですが、深圳市の龙岗区に星河WORLDというオフィス街とショッピングモールが一つになった区域があります。深圳と言えばで有名な中国最大の高さを誇るツインタワーがある場所です。そのツインタワーのふもと周辺にはロボットの劇場やロボット専門店、ロボットの研究機関などロボットに関連する施設がいくつかあります。さらに最近では、完全自動運転のロボタクシーが深圳市内の一部区域で運行が始まりました。ロボットが身近な生活圏に根付き始めており、そのうち町中をロボットがあるきだす日もそう遠くないのかなと感じています。

空飛ぶ車が現実的に

モビリティのホールでは、自動運転・小型化・低空飛行・深海潜水などのモビリティが主として展示されていました。特に、低空飛行モビリティが数多く見受けられました。

日本でも低空飛行モビリティが浸透しつつありますが、手をかけているのはまだまだ一部の大企業という印象です。しかし、本展示会では大小問わず多くの企業が低空飛行のモビリティを展示していました。すでに深圳の一部地域では“飛行タクシー”の運用が始まっている地域もあるほどなので、まさに今が低空飛行のトレンドなのかもしれません。低空飛行のみならず自動運転や小型化、そしてそれらの実用化が日本より一歩二歩先を進んでいる印象を受けました。とにかく深圳の技術トレンドは早く、新しい分野が一気に実用化されるのを、現場で見ている感覚があります。

意外と少なかったウェアラブル……?

会場が広すぎて見落としたのか、ウェアラブル系はあまり見当たらず。唯一見かけたのは パワードスーツと、どこでも見かけるスマートウォッチ程度でした。時間の都合上回れなかった他のホールでは展示していたのかもしれません。

嗜好品ブースもあるのが中国らしい

面白かったのは、テクノロジー展示会にもかかわらず、化粧品・カバン・ナッツ・お茶・お菓子などのブースも普通に混ざっているところでした。バッテリーメーカーの横で普通にナッツを売っているのを見ると、「この雑多さが中国の展示会の魅力かもしれない」と感じました。

そういえば日本も…

適当にふらふら歩いていると、関西人である私の視界の隅にふと懐かしさを感じました。その方向に目を向けると、そこにいたのは「たこるくん」!そう、テレビ大阪が出展していたのです。私が訪れたときはまだブースはがらんとしていました。準備が完了していなかったのかもしれません。何を展示しようとしていたのかとても気になりましたが…。他に日本企業のブースはなかったようにに思っていたのですが、よく考えるとブース名は中国語表記で表示しているだろうから気づけなかったのかな、ということに気づきました。

まとめ:テクノロジーの未来感を全身で浴びる展示会

今回のChina Hi-Tech Fairは、“未来の断片がホールごとに散りばめられている巨大テーマパーク”のようなイベントでした。特にロボットやモビリティの急成長、自動運転の実用レベルが「中国の技術は成長し続けているな」と実感させられる内容でした。次回は時間に余裕をもって訪れたいと思います。