OWLIFT Type-Fの勘所 第1回 / シャッターによる出力変動

弊社で販売しているサーマルカメラOWLIFT Type-Fについて、お客様からのお問い合わせが多い事柄や使い方のコツなどを本ブログでご紹介して行こうと思います。


第1回目はシャッターの話です。

シャッターの役割

OWLIFT Type-Fの赤外線センサには機械式のシャッターが搭載されていて、デフォルトでは3分ごとに数秒間閉じます。

※閉じた所の写真撮影が難しいので画像を加工しています

シャッターの目的は出力値の補正です。シャッターが閉じられている間は出力が止まります。つまり3分ごとに数秒間の空白が生じるということです。正確には内部的には出力が続いていて、閉じたシャッターの裏側が撮影されています。

シャッターのおかげで出力温度の正確さが保たれている一方で、使い勝手の悪さを生じさせているものでもあります。ここではシャッターによる補正の仕組み自体には触れず、シャッター前後でどのような出力になるかについて注目していきます。

シャッター開閉後の出力変動

まず、次のグラフを見てください。

上記グラフは一定温度の熱源を撮影したときのもので、縦軸の「出力温度」は一定範囲の画素を平均した値です。経過時間0分の時点をシャッターが閉じるタイミングに合わせました。0分、3分、6分がシャッター開閉のタイミングで、出力温度が山なりになっているのがわかります。

初めて見た方はこれほど出力温度が変動していることに驚かれると思います。シャッターが閉じて開いた後、約30秒の間に1~2℃上昇して下降します。30秒以降は変化の速さは低下するものの、徐々に出力温度が下降する傾向があります。

以上のようにシャッターの開閉は空白期間を生じさせるだけでなく出力温度にも影響を与えます。

しかしシャッターの開閉には問題があるものの、用途によっては影響を避けることができます。
例えば据え置きの装置や植物などの、動きのない物体の温度変化を長時間観察する目的であれば、常に温度を取得する必要はありません。例えば1分ごとに温度を取得するだけでも十分だったりします。

次回はシャッター開閉のタイミングを避けて温度を取得する方法について紹介する予定です。